謎はすべて解けた ZENDURE SuperTank前編

 気に入って使用していましたが4か月程で100W出力端子側が無反応になりました
 プレオーダ品も24か月の保証がついており保証申請をして代品が届きました
 動作確認のついでにテストしてみます


※USB Power DeliveryはUSB-PDと略します

 SuperTankの入手はkickstarterにてクラウドファンディングで入手しました
 2019年9月入手当時はまだ製品版では無く暫定仕様のプレオーダー品でした
 日本国内で正規販売はあるのかわかりませんがZENDURE.COMにて販売されています


 プレオーダ品とは微妙にパッケージが変更されていました
 時期からすると製品版と同じ物だと思われます
 それぞれの違いも探っていきます

 要約すると

 ×100W入力での充電は制限が掛かり遅い(50Wに制限)
 ×USB-PD最大出力は残量で変化する
 △電源ボタン長押しのパワーロールスワップ(PR_SWAP)モドキは癖があり切り替わらない事もある
 〇100W出力対応で最軽量?
 〇パススルーでの据え置き利用も可能

目次


仕様


型番 ZDA8PDP
内蔵バッテリー容量 99.9Wh 27000mAh
充電入力電圧/電流 DC 5-20V 100W MAX
USB出力電圧/電流 USB-C PD100W DC 5-20V 100W MAX
USB-C PD60W DC 5-20V 60W MAX
18W USB-A 5-12V 18W Max
15W USB-A 5V 15W Max
充電時間 非公開
外寸 120×74×42mm
質量 481g(実測 525g)
付属品 5A対応USB-C ケーブル,ステッカー


 記事内ではSuperTankと呼称します

サイズや重さ


 USB-PD30W出力可能な10000mAhのモバイルバッテリーと縦横の大きさはほぼ同じで厚さが2倍になります


 Omars PowerSurge 10000mAhは18650電池が4本使われています
 SuperTankは18650リチウムイオン電池が8本使用されています
 比較のモバイルバッテリーの倍の容積になります

 外装は重量が軽く放熱性の悪いポリカーボネイド製です
 重さは520g程度で容量から見ると軽くは無いです

本体表記部分



 私は気にしませんが気にする方が多いPSEマークはありますがPSEマーク付近に社名表示がありません

デザイン等


 黒の艶有りでZENDURE伝統のスーツケースデザインです


 製品版はケーブルが付属されていました
 USB Type-C to CケーブルはUSB3.1 20V5A仕様です

 クラウドファンディングではオマケとしてケースとケーブルが別に付いてきました
 オマケのケーブルは製品写真と同じデザインの物でUSB2.0 20V5A仕様でした




 製品版はケーブルのみ付属になった様です
 100Wケーブルは購入すると案外高いので良い方向での改善だと思います

入出力端子部分



 写真上側の丸いボタンが電源スイッチ
 左側のUSB Type-Cは100W入出力端子になります
 左側のUSB Type-Cは60W出力端子
 上段のUSB Type-AはUSB出力になり右側の緑端子側はクイックチャージ出力に対応です

 電源ボタンを2回押すと低電力機器を繋いだ時に給電が止まるのを防ぐXモードになります

 各端子の出力は本体表記の通りでした
 急速充電規格の対応等


 左USB-PD100W端子
 右USB-PD60W端子


 左USB-A 15W端子
 右USB-A 18W端子

 USB PD100W端子はクイックチャージにも対応しています
 100W端子のクイックチャージ要らないですよね?
 eMarkerのケーブルのトラブルの元でしかないので要らんお世話です

 USB-A 18W端子はクイックチャージ以外にファーウェイ,サムスン,iPhoneのスマートフォンの充電に便利な急速充電に対応しています

 USB-PD60W端子は何も対応しておらず繋ぐ機器によって反応が変わります
 USB-PD出力等はオプションの12V以外は至って普通です


 左USB-PD100W端子側
 右USB-PD60W端子側のPDOになります

 USB-PD100W側は3A対応ケーブルでは20V 3Aまでの通知になっていました
 5A対応ケーブルを繋ぐと20V 5Aの通知がきちんと出ます
 PDOの通知は100%残量の時の表示ですが残量によって通知が一部変わります
 通知の可変等は後編にて後述します

入出力の実効値


出力負荷 [VA]平均電圧 [V]電力量 [Wh]容量 [mAh]出力時間 [h:m:s]
20V 5A (100W)20.0883.5741671:04:36
20V 3A (60W)19.7685.6343341:25:12
20V 2.25A (45W)19.8887.3343921:55:48
15V 3A (45W)14.7486.6758791:56:42
12V 3A (36W)11.8586.0072592:24:50
9V 2A (18W)8.9987.4897285:07:20
充電入力 [VA]平均電圧 [V]電力量 [Wh]容量 [mAh]満充電時間 [h:m:s]80%充電時間 [h:m:s]
20V 5A (100W)19.94108.4154362:13:121:20:42
20V 3A (60W)19.90108.2054382:25:061:26:30
20V 2.25A (45W)19.86108.9154833:01:001:51:54
20V 1.5A (30W)19.76106.2653784:05:362:48:12
15V 2A (30W)14.79105.5671384:15:482:50:36
12V 1.5A (18W)11.78107.0390866:43:204:48:50
9V 2A (18W)8.94108.91121816:55:304:51:20

USB-PDの出力について

USB-PD100W端子側単独出力
 残量表示49以下になると出力が制限されます
 残量表示49以下は60Wまでの出力になる様にPDOが再通知されます
 説明書等にはもちろん書かれてはいません
 プレオーダ品と同じ動作制限です

USB-PD60W端子側単独出力
 残量表示49以下と29以下でそれぞれ出力が制限されます
 残量表示49以下は45Wまでの出力になる様にPDOが通知されます
 残量表示29以下は60Wまでの出力になる様にPDOが通知されます

 説明書等にはもちろん書かれてはいません
 プレオーダ品は49以下で45W制限のみで違う動作制限になっています
 何故29以下になると通知が60Wに戻すのか意味が分かりません

 複数同時出力は制限値が違います
 出力別の組み合わせは後編にて後述します

USB-PDの入力(充電)について

 充電入力100Wでの充電はプレオーダ品と製品版は同じ欠点があります
 内部の発熱がうまく処理出来ておらず内部温度上昇で安全装置が働きます
 室温22℃ 湿度60%の環境にて動作確認しましたが充電開始から約24分で制限が掛かりました
 制限値はプレオーダ品と同じく50Wでの充電に切り替わります

 5A非対応のケーブルを使う等して60W(20V 3A)での入力も可能です
 通常使用での60W入力時は温度上昇による制限は掛かりません

 充電時間等の比較は後編にて後述します

SuperTank単体での充電について

 100Wでの充電と60Wでの充電はほぼ同時間になります
 高価な100Wアダプタを新規で買う必要はありません

 3000円の60Wアダプタを2個用意してSuperTankとモバイル機器を別々に充電した方が効率が良いです

入出力電圧別の効率について

 蓄電量は記載の99.9WhとしてUSB-PD側で変換率を出します

入出力 [VA]充電入力効率 [%]USB出力効率 [%]
20V 5A (100W)92.283.7
20V 3A (60W)92.385.7
20V 2.25A(45W)91.787.4
15V 3A (45W)   86.8
20V 1.5A(30W)94.0未計測
15V 2A(30W)94.6未計測
12V 3A (36W)   86.1
12V 1.5A(18W)93.3未計測
9V 2A (18W)91.787.6

 入力効率は約90%以上とかなり良いです
 出力効率も最低が約85%程度になります
 入出力効率から見て内蔵容量は表記通りであっています

ここから他所では書かれていない?ウチのウリの部分


ここから記載する事はまったく問題にならない可能性があります

 私の所有する個体および故障により交換になったSuperTank自体の問題や不具合又は故障の可能性もあります
 参考程度に読んでください

パススルーでの使用時も出力制限があります

 SuperTankを充電しながら残り3ポートの出力端子から出力が可能です
 プレオーダ品はパススルー時には出力制限は無く60Wでの出力が可能でした
 製品版はパススルーでの使用時は残量表示29以下にUSB-PD60W端子は45Wに制限されます

USB-PD100Wポートの最大出力と容量の関係

 残量49になるとPDOを再通知して電力の向きが変わる場合があります
 充電する機器によっては再通知のタイミングで入出力が反転した場合に切替機能をうまく使っても中々切り替わらない場合がありました
 切り替えタイミングでの残量の一覧を用意しました

最大出力可能負荷 [VA]出力電力量 [Wh]累計電力量 [Wh]表示残量 出力可能残量 [%-%]
20V 5A (100W)43.3143.3150まで100-48
20V 3A (60W)40.2683.5749以下48-0

 最大出力100Wで出力すると残量49までの使える時間は25分程度です

USB-PD60Wポートの最大出力と容量の関係

 残量49と29でそれぞれPDOを再通知して電力供給が一瞬切れます
 切り替えタイミングでの残量の一覧を用意しました

最大出力可能負荷 [VA]出力電力量 [Wh]累計電力量 [Wh]表示残量 出力可能残量 [%-%]
20V 3A (60W)40.2640.2650まで100-54
20V 2.25A (45W)14.8955.1549以下54-37
20V 3A (60W)32.3987.5429以下37-0

 最大出力60Wで出力すると残量49までの使える時間は41分程度です
 残量表示が49以下になると出力が45Wになる様にPDOが再通知されます

 残量表示が29以下になると何故か再び60Wになる様にPDOが再通知されます
 パススルー時は45Wに制限なので多分設定ミスだと思われます
 製品版で唯一気になった部分でバクだと思われます(複数出力時も3段階で下がる様に制限が掛かる)

USB-PD 60W出力のモバイルバッテリーと比較

 60W出力のモバイルバッテリーは出力制限が無い物があります
 helperの60W出力のモデルH0113は全域60W出力が可能です

 SuperTankで60W連続出力可能な電力量は43Wh
 helperの60W連続出力可能な電力量は61Wh

 途切れながらの給電なら100W側にて全量60W出力が可能です

後編へつづく

 細かい部分と比較等は後編に記載します

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