謎はすべて解けた ZENDURE SuperTank後編

 後編では前編の後述部分等の部分です
 読みやすい様に専門用語等は極力省きます


※USB Power DeliveryはUSB-PD
 QCはクイックチャージと略します

目次

1.プレオーダー品との違い
2.充電時間について
3.内部構造について


USB-PDの入出力を入れ替える機能について

 USB-PDはUSB-C端子を使う性質上蓄電が出来る機器では入力と出力は1つの端子で兼用になります
 バッテリー内蔵PCやモバイルバッテリーは入力と出力がどちらも可能な機器になります


 入出力可能な機器同士を繋ぐ場合は入力と出力の決定は繋いだ瞬間の気分(通信等)で決まります
 何度か繋ぎ直すと気分で入出力が反転します(詳しい事は省きます)
 中には全く反転しない機器もあります


 USB-PDの通信コマンドの一つにお互いの入出力を切り替えるコマンド(PR_SWAP)があります
 コマンドを出すとお互いに入出力が可能な機器同士なら入力と出力が入れ替わり電気の流れを変える事が出来ます


 SuperTankはこのコマンドを出して切り替えはしていません
 USB-PDの通信を見てみましたが通信の初期化はしていますがPR_SWAPの命令は出していません
 機器によってはたまたま切り替わりますが全く変わらない機器もありました
 SuperTankの場合は運が良ければ切り替わる程度に思った方が良いです 

故障したプレオーダー品との違い等


USB-A 15W側出力はXモード以外でも使用可能

 私のプレオーダー品は何故USB-A 15W出力はXモード時しか出力しませんでした
 製品版はUSB-A端子は常時両方とも使用が可能になりました
 USB-A 15Wと18W端子同時出力時は5Vのみで出力が可能です

残量値による出力制限値が一部追加された

 プレオーダー品は残量表示49を境に出力制限値(PDO)が変わります
 製品版では残量表示49と新たにUSB-PD 60W側出力側のみ残量表示29以下の制限値が追加になりました

複数ポート同時使用の出力制限

 出力制限は出力の組み合わせによって各端子の出力が変わります
 一覧にしてみました

 ()内は単独時の出力
 赤文字部分が追加になった制限値です


残量100W端子最大出力60W端子最大出力18W端子最大出力合計出力 [W]
100~50%60W(100W)60W(60W)QC18138W
49~3045W(60W)45W(45W)QC18105(108)W
29~030W(60W)30W(60W)QC1875(78)W

出力制限は合計値を見ると単独使用なら要らないような気が…

 裏技ですがUSB-Aの出力端子からUSB-C 100W端子を繋ぎ給電ループしておくと出力制限がパススルー時と同じ制限値になります
 USB-C 60W出力は残量30まで60W出力となります

他の100W出力が可能なモバイルバッテリーの出力制限

 低価格で全域100W出力は存在しない様です
 AlsterPlusは制限値が公表されいます

 AlsterPlusの出力制限
 75%まで100W出力
 75%から20%まで60W出力
 20%未満は45W出力

SuperTank自体の充電時間について


 前編でも書きましたが100W入力での充電時は発熱による制限があります
 空から満充電までの充電時間では60Wの充電器での充電とほぼ同時間でした
 100W充電器での満充電時間は2時間13分
 60W充電器での満充電時間は2時間25分

充電時間100W充電
電力積算値
充電量率60W充電
電力積算値
充電量率
0:3044.12Wh40.75%29.99Wh27.71%
1:0069.37Wh64.02%60.04Wh55.51%
1:3093.91Wh86.65%89.54Wh82.80%

 充電を急ぐのであれば100W充電器にて30分充電すれば容量の4割が蓄電出来ます
 発熱制限が掛からない様に冷却して充電すると1時間45分で満充電でした

 センサー温度が45~50℃になると50Wに制限が掛かる様に設定されています
 構造上熱が籠りやすく100W充電時は必ず制限が掛かります
 制限が掛からない物が存在すればHyperのHJ307と同じ充電時間になります

 内蔵バッテリーのサイクル寿命を考えると急がない時は45W以下での蓄電が良いと思います(発熱制限が50Wの為)

充電器について

 充電器の価格は100Wと60Wでは全然違います
 低価格で使えそうな充電器で比較すると

 100Wクラスの充電器はApple 96W USB-C電源アダプタで約8500円になります
 60Wクラスの充電器はAnker PowerPort Speed 1 PD 60で約2800円になります

 Appleのアダプタは耐久性がまだわからず全容量充電で考えると新規で用意するなら60W充電器が価格含めて実用的です

内部構造について


 交換品が来ましたが故障品は回収しない様なので分解してみました
 基板部分は秘密な部分があるかもしれないので写真は載せません

本体外装

 パッカーンっと開けました


Kickstarterで見ている方はわかると思いますがフレームにフタを付けている構造になっています
 フタはツメと両面テープで固定されていました

内蔵電池


搭載されている電池は私の個体では写真の通りSamsung製INR18650-35Eになります
 積み重ねているので放熱は不利ですね


接続は2セットずつ並列の物が4直列で接続されていました
 20Vにて1.5A以上の出力のモバイルバッテリーは電源電圧は7.2V~14.4Vの接続の物がほとんどです

Samsung製INR18650-35E仕様諸元から抜粋

電池容量定格 3350mAh
標準充電電流値0.5C (1700mA)
最大充電電流値0.6C (2000mA)
急速充電電流値1.0C (3400mA)
最大放電電流値連続8A パルス13A
容量計測電流値0.2C (680mA)
放電終止電圧2.65V

搭載電池は標準充電で100Wに対応していない

 標準充電電流から逆算した入力電力は
 最小 46W ピーク 73W

 急速充電電流から逆算した入力電力は
 最小 80W ピーク 125W

 充電時ロス10%を加味した値です
 標準で100Wには対応していません
 発熱でリミッターがかかるのが何となくわかった様な気がします

 急がないときは45Wか60W入力
 急ぐときは80W以上の充電器と使い分けるのが良いと思います
 
統括

 ZENDUREのサポートは英語のみです
 SuperTankの価格は約2万円程です
 サイズ等気にならなければ2万円ではポータブル電源も購入が可能です
 
 60W出力のみで足りるならコストが掛からない60W出力のモバイルバッテリーが実用的だと思います

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