謎はすべて解けた SLUB T110LF編

 前回に引き続きSLuBブランドで自称容量30000mAhで100W出力のモバイルバッテリーを購入しました

※クイックチャージはQCと略します
 USB Power DeliveryはUSB-PDと略します

 前回のSLuBブランドで小型・軽量・高出力な物第2弾になります

 先日の記事でのSLuBブランドでは容量詐称していました
 結論から書くとこのモバイルバッテリーもやはり容量詐称品で実機は20000mAhでした

 出力で期待という事で早速購入してためしてみます
 購入はAmazon.co.jpにて明誠(株)販売の物をクーポンを使用して5681円で購入しました
 楽天やアマゾン等でも売られおり購入時最安の販売元を探して購入すると良いと思います

 

 定価は11960円ですが実売価格は5980円位の様です

 要約すると

 ×容量詐称で実機は20000mAh
 ×100W出力はオーバーヒートにより45Wに出力が制限される
 ×ケーブルの種類(E-Markerの有無)に関係なく20V 5Aの出力通知をしてくる(供給オーバー)
 ×蓄電入力は表記と違い最大100Wだがすぐにオーバーヒートして45Wに制限される
 △本体温度が15℃以下ではモバイルバッテリー蓄電時は50Wに制限される
 △残量表記はあまりあてにならない(特に蓄電時)
 △蓄電の最速は60Wでの充電が最速(100Wの方が遅い)
 〇モバイルバッテリーの充電はクイックチャージ等の急速充電器でも可能
 〇軽く小さい

 欠点が問題無ければ良い物ですが容量が少ないのは問題外だと思います

目次


仕様


型番 T110LF
内蔵バッテリー 20000mAh / 74Wh 21700リチウムイオンバッテリー
充電入力電圧/電流 USB-C 5-20V/3A 20V/5A 100W MAX
USB出力電圧/電流 USB-C1 PD3.0 DC 5V,9V,12V,15V/3A 20V/5A 100W MAX
PPS 3.3-20V 3A 60W MAX
USB-C2 PD3.0 DC 5V,9V/3A 12V/2.5A
PPS 3.3-12V 3A 30W MAX
USB-A DC 4.5V/5A 5V/4.5A 9V/3A 12V/1.5A 22.5W MAX
USB3出力同時最⼤130W
充電時間 約1.6時間(USB-PD 60W充電時)
外寸 132x83x26mm
質量 426g
付属品USB Type-C to Cケーブル

 PSEマークあり 明誠株式会社
 赤文字部分は実機を調べて多少違った所です


 記事内ではT110LFと呼称します

 型番で検索すると別ブランドの同一品等が出ています
 リンク貼っておきます

 EGO Hyper 20000mAh 130W PD external chargerへのリンク

サイズや重さ


 大きさは6.5インチのスマートフォンとほぼ同じ大きさです
 厚さは26mmでちょうどスマートフォンの2倍の厚さです


 同じブランドで出ている自称30000mAh(実際は20000mAh)のT105Pモバイルバッテリーを大きさを比べると長さが2cmほど短く幅が1cmほど増えています
 重さはほぼ同じです

本体表記部分



 容量の表記はもちろん違いますか(日本語が変?)蓄電(充電)入力も間違っています
 実機で確認しましたが20V 5Aで100Wで蓄電入力が可能です

デザイン等



 前回のT108LFとは違いブランドマークを上面にした状態テーブル等に置くと入出力端子の打刻文字が読める向きになります
 左側面の丸いボタンは残量表示と低電力モードの切り替えスイッチになります

 USB-PD等USB高速充電出力時にボタンを2回押すとUSB-C2ポートが強制で5V出力に切り替わります
 2回押すと低電力機器でも自動で電源停止にならない様にするモードに切り替わります
 低電力モードは2時間で解除になります

入出力端子部分



 右側の橙色端子はUSB-A出力端子で各社急速充電規格に対応で最大22.5W
 真ん中の端子はUSB-C2出力端子でUSB-PD出力と各社急速充電入出力にも対応で最大30W
 左側の端子はUSB-C1入出力兼用端子でUSB-PD入出力と各社急速充電入出力にも対応で100W


 残量表示はデジタルの数値表記ですがイマイチあてになりません
 内部の実際の蓄電容量と設定容量が違うせいなのか残量90~93%で満充電になる事が多いです
 その後3秒間隔程度で1%づつ上昇していき100%表記になる事が多いです

 

 左 USB-A対応出力
 右 USB-C対応出力

 

 左 USB-C1のUSB-PDのPDO対応出力
 右 USB-C2のUSB-PDのPDO対応出力

 USB-AとUSB-Cの対応充電規格は同一でAuto Enumerateの通りです
 クイックチャージやファーウェイと各社アンドロイドとiPhone等のスマートフォンの充電に便利な急速充電に対応しています
 本来はUSB-C側はUSB-PD規格対応であればPD以外にも対応してはいけない事になっていますが…私は利便性優先で良いと思います

 USB-PDの出力通知ですが3Aケーブルを使っているのに5Aの通知が出ていました
 65WのUSB-PD出力対応電源機器で良く見ますが100Wの通知なので今回は流石にまずいと思います

 3Aに対して上限をかなり超えているため5A対応ケーブルを使う様にした方が事故等無く使えると思います

 説明書によると出力は色々対応しています

 USB-PD2.0/3.0プロトコル,PPS
 クイックチャージ2.0/3.0
 Huawei SCP/FCP
 Samsung AFC
 OPPO VOOC
 USB-BC1.2
 iPhone大電流

 充電に対応らしいです

 充電入力は実機でも確認しましたがUSB-PD以外にクイックチャージでも対応の様です
 USB-PD充電器無くても汎用のスマホ用急速充電器がうまくファーウェイかサムスン辺りの規格に対応していれば使える場合があります


 急速での充電入力はPDとINの表示が出ます
 急速でのUSB出力時はPDのみ表示に切り替わります
 先日記事のT108LFと同じ表示になります

入出力の実効値


 出力はUSB-C端子側とUSB-A端子側の出力を計測
 USB-C端子側はUSB-PDの出力でPDと記載
 USB-A端子側はクイックチャージの出力でQCと記載します

出力負荷 [VA]平均電圧 [V]電力量 [Wh]容量 [mAh]出力時間 [h:m:s]
PD20V 5A (100W)19.8759.3929891:18:54
PD20V 3A (60W)19.9758.1129091:06:30
PD15V 3A (45W)14.9257.5638591:19:24
PD12V 3A (36W)11.9359.3849751:42:24
PD9V 3A (27W)8.7357.8766322:14:30
PD5V 3A (15W)4.8555.19113763:47:06
QC12V 1.5A (18W)11.9760.0450143:19:36
QC9V 1.8A (17W)8.9559.9566983:42:36
充電入力 [VA]平均電圧 [V]電力量 [Wh]容量 [mAh]満充電時間 [h:m:s]80%充電時間 [h:m:s]
20V 3A (100W)20.0471.3235581:42:181:07:00
20V 3A (60W)19.3572.1137261:36:061:00:12
20V 2.25A (45W)19.8771.4135951:55:241:16:24
15V 2A (30W)14.7571.7548632:44:541:57:18
12V 1.5A (18W)11.6271.9161914:26:183:18:48
9V 2A (18W)8.7675.0185554:38:483:26:24
5V 2A (10W)5.0580.73159788:15:306:05:30

 空から満充電までの時間は1.6時間程度です
 充電は速く80%までなら1時間程度で充電出来ていました
 充電最速時間は3A対応ケーブルを使用した60W充電になります

 充電入力は100W充電器でも可能ですが5分程度で発熱により制限がかかり45W充電になります
 放電出力も同様に100Wで可能ですが20分程度で発熱により制限がかかり45W出力になります

入出力電圧別の効率について

 蓄電量は記載の容量では無く70Wh(19000mAh)としてUSB-PD側で変換率を出します

入出力 [VA]充電入力効率 [%]USB出力効率 [%]
20V3A (60W)97.183.0
15V 3A (45W)95.1
81.8
12V 3A (36W)97.384.8
9V 2A (18W)93.385.6
5V 3A (15W)86.783.3

 極端に入ってなくて出てこない場合は容量が違いますが…実容量を見た限りではどうみても20000mAh(74Wh)の容量です
 

ここから他所では書かれていない?ウチのウリの部分


ここから記載する事はまったく問題にならない可能性があります

 私の所有する個体自体の問題や不具合又は故障の可能性もあります
 参考程度に読んでください

SLuBブランドT110LFの容量表記は詐称表記

 日本以外の国で販売されている他ブランドでも同一型番の物が販売されています
 T110LやT110LF等の型番で出てきますが日本SLuBブランド以外は20000mAh表記の様です
 重量から予測は出来ますが…まともな表記の無いのかな?
 容量を重視する方にはオススメしません

 小型・軽量・高出力を優先する方は購入しても良いと思います
 ここから下はいつも通りの部分です

本体温度によって入出力の制限がかかる

 低温時と高温時の保護機能の様ですが雰囲気温度が15℃以下と50℃以上で動作制限がかかります

〇通常時

 モバイルバッテリー出力は最大130W
 蓄電入力は最大100W

〇本体温度が50℃以上では

 モバイルバッテリー出力は最大45W
 蓄電入力は最大45W
 約40℃まで本体温度が下がると通常時に復帰します

〇本体温度が15℃以下では

 モバイルバッテリー出力は最大130W
 蓄電入力は最大50W
 約20℃まで本体温度が上がると通常時に復帰します

100Wでの入出力時はオーバーヒートで制限がかかる

 オーバーヒートで入出力が制限されてモバイルバッテリー本体の温度が下がるようにする制御はきちんと働くようです
 制限は出力が最大100Wから45WにPDOが切り替わる様になっています


 その点は安全ですが小型で100W出力メインでの使い方は無理です 
 色々な条件で使ってみましたが60Wでの入出力がメインの使い方であれば良い物だと思います

VOOC/DASH Charge規格の実装が変?

 急速充電規格のOPPOのVOOCとOnePlusのDASHチャージに対応していますが充電に使う専用のケーブルの検出をしていません

 通常の細い汎用のUSBケーブルでも急速充電が有効になる様です
 汎用のUSBケーブルは3Aまでの対応です
 VOOC/DASHの充電電流は4Aほど流れます

 ケーブルに対して過大の電流が流れてしまうのを防ぐ為にもVOOC/DASHチャージに対応したケーブルを使う必要があります

統括 
 厳しく言うとオーバーヒートで売りにしている130Wのパフォーマンスは期待できません
 容量もデタラメな表記な上に価格も安いかと言われれば20000mAhクラスでは微妙です
 使えないかと言えば…実際使ってみた感じでは60Wでの運用ならばかなり使えます

2 件のコメント:

  1. T111LF(40000mah, PD65W)を購入し、ノートパソコンへの給電をUSBテスター(TC66)で測定してみたところ、32Whくらいで給電がおわり(残量表示は9%)、ノートパソコン⇒モバイルバッテリーへ逆方向に充電が始まってしまうのですが、
    流石に故障でしょうか?一応販売者にも質問をしているのですが、まっさん様の方が詳しそうなので。。。

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  2. コメントありがとうございます

    残量表示が少なくなると特定の残量以下(10%や5%)の所でバッテリー側がUSB-PDのPDOを再通知する機種があるので仕様かもしれません

    試しに代品をもらった方が比較できるので良いかもしれません
    T111LFは供給元の情報では111Wh(3.7V 30000mAh)の容量の様です
    仮に満充電からだとすると少なすぎる様な気がします

    返信削除

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